相談事例

家族による相談事例
※本事例は、専任担当者が対応した相談の中から、主な経過を取りまとめものです(実在の事例ではありません)

「ひきこもり」ケース 30代男性
中学生の頃に何度か不登校を経験していたが、無事に高校、大学と進学したので、家族は多少不安はあったものの、心配するほどではなかった。
ところが、大学3年生になって、本人が全く大学に行っていないことが判明し、家族がその理由を問いただすも、本人はその理由を全く語らず、その後、自室に引きこもり、昼夜逆転の生活となってしまった。(大学は最終的に中退となる)

家族は、何度も、本人を相談機関や専門医療機関に行かせようとしたが、本人は聞く耳を持たなかった。時には、激しい言い争いや、家庭内暴力が生じるなどして、10年以上が経過する。
定年を控えた父親が、大学時代の友人に相談したところ、「ひきこもり」ケースを専門に支援している民間団体の存在を知り、家族が相談に通うことになった。

継続的な相談の中で、家族はより適切な対応方法等を知り、時間はかかったが家族間の緊張状態は徐々に解消されていった。本人に特に大きな変化は見られないように思われていたが、ある時、本人の方から「自分も相談に行きたい。話を聞いてみたい。」と言い出したため、その団体を本人に紹介したところ、自らの意思で継続的に相談するようになった。スタッフとの関係が安定してくるようになった頃には、同団体が実施している、「グループ活動」にも積極的に参加するようになった。現在、本人は、グループ活動で知り合った仲間にも支えられ、資格試験の勉強を始めるなど、新たな生活に向けての第一歩を踏みだしている。

支援のポイント
課題を抱えている家族が相談機関等に通うことによって、現状を理解し、よりよい対処行動を身に着けることが大切である。そのことにより、家族間のストレスが軽減されたり、コミュニケーションが改善されるなどして、本人自らが問題解決のために動き出しやすい環境を整えることが期待できる。

まずは家族が問題解決に向けた行動をすることによって、本人に「相談」という行為が「問題解決」につながる手段であることを無理なく伝えることができる。

昼夜逆転の生活や抑うつ等の症状改善のために、必要に応じて、専門医療機関(心療内科)の利用をすることも有効である。